鍵に理解を深めよう
予測の前提として、現在の音楽CDの購入率、音楽配信利用経験などを参考に、2008年度のオンライン音楽配信の利用者率は約40%に達すると想定し、ユーザー数を推計した。
1ユーザーあたりの購入曲数は、既存のCD購入数をふやし市場の定義インターネットに接続されたパソコンやオーディオ機器、携帯電話・PHS、店頭端末などを経由して、利用者が対価を支払って音楽コンテンツをダウンロードする市場を対象とする。
配信されるデータ形式は特に問わないが、カラオケ用データの配信や楽曲の一部のみを配信する「着メロ」「着うた」(CD音源を携帯電話の着信音として配信)などのサービスは含まないものとする。
また、ユーザーの楽曲購入の仕方として、現在主流となっている1曲ごとに料金を支払う「シングル型」と、たとえば2000円の料金で10曲までダウンロード可能といった「アラカルト型」の2つの形態に分けて市場を推計した。
なお、現在のオンライン音楽配信サービスには、ダウンロードするルートとして、インターネットに接続されたパソコンを経由する方式、コンビニなどに設置された店頭端末を経由する方式、携帯電話やPHSを経由する方式の、大きく分けて3つの方式があるが、将来にわたってユーザーがどの方式を選択してダウンロードを行うかを想定することは困難であることから、ルート別の市場推計は行っていない。
利用数を参考に設定し、また1曲あたりの平均価格は、最近の値下げの動きを考慮して250円と設定している。
前回の予測と比較すると、音楽配信利用率、楽曲の平均価格ともに低く設定したため、市場規模の予測値は小さくなっている。
まず、現在の配信サービスと同じ「シングル型」の市場は、2008年度に約162億円まで拡大する。
「シングル型」では、ユーザーの利用意識がシングルCDの購入・レンタルとほぼ同様と考えられ、年間に購入・レンタルで利用するシングルCDの一部がオンライン配信に移行すると想定している。
次に、2004年度以降、「アラカルト型」のサービスが段階的に導入されることを前提として、「アラカルト型」市場が722億円規模に成長すると予測する。
ここ数年、ヒット曲を集めたコンピレーションアルバムが数多くリリースされ、聞きたい曲がまとめて購入できることから好評を博しているが、オンライン音楽配信では、その特性を活かし、ユーザーの要求により柔軟に対応するサービスの提供が可能である。
たとえば、自分の好みの曲を自由に組み合わせてダウンロードできるサービスなど、既存のパッケージ製品との差別化を図ることで、新たなオンライン配信市場が形成されると考えられる。
ただし、「アラカルト型」市場は、レコード会社やアーティストがサービスの導入に積極的に取り組むかどうかによって、市場規模が左右されることに注意が必要である。
配信方式市場のトレンド〈オンライン配信市場はレコード会社が主導>日本のオーディオレコード市場は生産金額ベースで4年連続で減少しており、2002年には4431億円と、ピークの1998年から約1600億円も縮小している。
これに対して、オンライン配信市場は、徐々にではあるが拡大しており2002年度で7億円程度と考えられ、市場が形成されつつある段階にあるといえる。
インターネット経由の音楽配信では、1999年のソニー・ミュージックエンタテインメントの「bitMusic」を手始めに、大手レコード会社が次々に音楽配信事業に参入し、サービスを展開している。
大手レコード会社のコンテンツを扱っているポータルサイトとしては、「レーベルゲート」、「ArcstarMUSIC&VIDEO」などがあげられる。
「HMV.CO.jp」や「TSUTAYAOnline」などのレコード販売店系のサイトでは、大手レコード会社の販売サイトとのリンクを貼って音楽配信サービスを提供している。
大手レコード会社以外のサイトとしては、独立系の「Music.co.jp」や、ISPのコンテンツポータルサイト「Music@nifty」などが、インディーズや中小レーベルの楽曲をインターネット経由で配信している。
しかし、権利処理のノウハウや豊富な楽曲のラインナップという点で、レコード会社には一日の長があり、今後のオンライン音楽配信市場はレコード会社が主導していくと考えられる。
インターネット経由の音楽配信市場におけるレコード会社別のシェアは、既存のオーディオレコード市場と類似した構成になっていると考えられ、大手レコード会社が市場をリードしている状況にある。
2002年に入り、各社は価格の引き下げやコンテンツラインナップの充実など利用者拡大に向けて積極的な動きを見せている。
エイベックスの「@Music」と「bitMusic」では、それぞれ2002年4月、7月にコンテンツの料金を1曲あたり210円に値下げし、ダウンロード数を2〜3倍程度伸ばすことに成功した。
低価格化により、当初のオンライン配信の割高感が解消されつつある。
楽曲ラインナップを見ると、オンライン音楽配信が登場した当時は新曲がほとんどであったが、2002年ごろから各サービスではメインユーザーである30〜40代をターゲットに80年代のヒットソングやすでに廃盤になったコンテンツの配信を始めている。
このような、既存のオーディオレコード市場では流通させづらい、眠っていたコンテンツの配信など、オンラインのメリットを活かしたサービスが登場したことは、本格的な市場拡大へ向けた緒になるといえるだろう。
現在、インターネット経由の配信では、楽曲を聞くまでに、再生ソフトの設定やファイル形式の選択、ユーザー登録など多くの手間がかかり、初心者は初期設定の途中で断念してしまうことも少なくない。
配信される楽曲のファイル形式には、レーベルゲートMQ方式、WMT方式、EMMS方式など複数の形式が存在している。
最近では、レーベルゲートMQ方式とWMT方式の2つに集約されつつあるが、それぞれに対応した再生ソフトが必要であったり、対応するポータブルオーディオ機器が異なっているなど、ユーザーの混乱を招く原因となっている。
このような状況から、インターネット経由の音楽配信の利用は、パソコンに関してある程度のスキルがあるユーザーが、ハードディスク上に構築した音楽ライブラリーをパソコンで試聴するスタイルが一般的になっていると思われる。
2001年6月に登場したNetMD規格では、USB端子でパソコンに接続したMDプレイヤーへレーベルゲートMQ方式のコンテンツを転送すること(「チェックアウト」)ができ、それによりユーザーの利用シーンを広げ、パソコンのへビーユーザー以外に利用者層を拡大することが期待されていた。
しかし、NetMD対応機器は機種が少なく、通常のMDプレイヤーに比べて価格が高いことに加えて、ソフトウェアのインストールやパソコンとの接続、「チェックアウト」という概念が初心者にとってわかりづらかったことから、期待されたほどのユーザー拡大には至っていない。
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